もう迷わない。効率的に希望を叶えるオフィス物件の選び方
希望を叶えるオフィス物件を見つけるには、時間も労力もかかるもの。
不動産会社への問い合わせから始まり、次々と更新される物件情報の中から候補を選び、物件への内見へ足を運んだり……
オフィス物件選びは業務負荷も高いため、日常業務と並行して行う際にはできるだけ効率的に進めたいと思う人も多いのではないでしょうか。
本記事では多忙なビジネスパーソンが、効率的に条件を決め、希望を叶えるためのオフィス物件の選び方を紹介します。
① 何のためのオフィス物件選びなのか?(目的)
② 自社におけるオフィスの位置づけを明確化する(コンセプト)
③ どうしても譲れない条件をリストアップする
2. オフィス物件探しスタート!効率的に候補を絞り込むための4つの視点
① 立地は3段階で考える
② 必要な面積を割り出す
③ 譲れない設備を選別する
④ 適正な賃料の範囲で探す
3. まとめ
どうしても譲れない希望条件を洗い出す
効率的なオフィス物件探しには、まず始めに目的やブレないための軸をはっきりさせておくとスピードアップにつながります。
物件探しをスタートさせる前に、今回のオフィス探しの目的やコンセプトを明確にしておくことがおすすめです。情報過多になりがちな物件探しの迷走を防ぎ、物件候補で迷った時に希望に合った物件を選択しやすくなります。
次のような角度から、物件探しの目的やコンセプトを見つめ直すことで、物件探しを効率化させる「どうしても譲れない条件」を導き出すことができます。
① 何のためのオフィス物件選びなのか?(目的)
従業員が増えたための拡大移転、リモートワーク推進により働き方が変わったためなど、「何のためにオフィスを探しているのか?」という目的を今一度確認しておきます。
「現在のオフィスに何か不満があり、それを改善するため」など、何か目的があるはずです。
オフィス物件探しの要となる「目的」をはっきりさせることにより、後に続くステップをスムーズに進められるようになります。
② 自社におけるオフィスの位置づけを明確化する(コンセプト)
働き方の多様化にともない、企業にとってオフィスが持つ意味もバリエーションが広がりました。
これまでオフィスは、「全従業員が出勤し集まる場所」としての位置づけが主流で、「集中して作業を行える」
「生産性が高い」「全従業員のデスクが配置できる」といった要素を求める企業が多い傾向にありました。
最近ではリモートワークの浸透に伴い、オフィスは「リモートワークでは完結できない作業をする場所」「従業員同士が顔を合わせてコミュニケーションする場所」としての重要度を増しつつあります。
それ以外にも、「常に従業員が出勤しているわけではないので、賃料を節約できる物件に乗り換えたい」「柔軟な働き方ができる場所にしたい」「ミーティングルームを充実させたい」といったニーズも高まってきています。
自社におけるオフィスの位置づけはどんなものでしょうか?
まず「どんなコンセプトでオフィス物件を探しているのか」を明確にすることで、続く「どうしても譲れない条件」の抽出がしがしやすくなります。
③ どうしても譲れない条件をリストアップする
効率的なオフィス物件探しを妨げるのが、物件探しの途中で方針がブレてしまうことです。
不動産会社から次々と送られてくる物件情報の山に埋もれてしまう前に、オフィス物件探しで「どうしても譲れない条件」をリストアップしてみることがおすすめです。
②で挙げた自社のオフィスの位置づけ(コンセプト)に考えていくと割り出しやすくなります。また、リストアップした希望条件に優先順位もつけておくと、判断に迷った時にもブレない決断がしやすくなります。
例えば、リモートワークの推進により出社率が以前より低くなりオフィスの移転を考えている企業の場合。「現在のオフィスより家賃を抑える」ということに加え、「物件の広さ(縮小)」や「ミーティング用の広い共用スペース」などが大切になってくるでしょう。また、出社シーンの変化に応じて「駅からの距離」などの利便性がより重要になってくるかもしれません。
譲れない条件の例:
・ 家賃
・ 駅からの距離
・ 物件の広さ
・ オフィスビル内にある
・ 広い共用スペース
・ 駐車場の有無
・ 特定のエリアにある
・ スケルトンかどうか
など
物件探しを本格的にスタートさせる前に、こうした希望条件リストを社内で共有して経営陣からの事前合意を得ておくことも、物件探しを効率的に行う秘訣となります。
オフィス物件探しスタート!効率的に候補を絞り込むための4つの視点
ここからは実際にオフィス物件の候補を効率的に絞り込んでいく際に、役に立つ4つの視点をご紹介していきます。
① 立地は3段階で考える
オフィス物件の立地について、最寄り駅からの距離だけで判断していませんか?
実は、駅からの距離以外にも、押さえておきたいポイントがいくつかあります。オフィス物件の立地を多角的に捉えることにより、本当にその企業に合った物件かどうかを判断しやすくなります。
ポイント1: 地域の特徴
少し意外に思う人もいるかもしれませんが、駅からの距離などの個々の物件の利便性に関する条件よりも先に、まずはオフィスを構えたい地域を決めておくことが大切です。
企業に信用力のつく地域
新たなオフィスを構える理由が「企業に信用力をつけたい」ということであれば、一等地や知名度のある地域を選べば企業力の代名詞にもなります。
例えば、若々しくトレンドに敏感な業種なら表参道、高級感のある消費財を扱う企業なら銀座や六本木……というように、地域が持つイメージがそのまま企業のブランドイメージにもつながります。
ただこのような有名な地域は家賃が高額になりがちでもあるため、経営の観点からは現実的な予算と折り合いのつく地域を選ぶことも非常に重要になります。
同業他社の有無
同じエリアに競合他社のオフィスがあることに相乗効果があるならば、競合他社の多い地域を選ぶというのも一つの手法です。例えば、各社が開催する展示会まわりなどが予想される業界なら、自社だけぽつんと離れた立地にあるよりも、同業他社の近くに位置していた方がより多くの人に訪問してもらえる確率が高くなるでしょう。
また、製造業など関係企業へのアクセスの良さが業務の効率化につながる場合は、そういった観点でエリアを選ぶことも有益です。
例えば神田エリアは、書店や古本販売店、出版社が密集していることでも知られる地域です。それに付随して製本所や印刷所も多く存在しており、書籍に関連する企業にとってメリットの大きな地域となっています。
逆に店舗を伴うようなオフィスなら、同業他社の多いエリアを避けた地域を選び差別化することも戦略になります。
ポイント2: 利便性
次に、冒頭に挙げた「最寄り駅からの距離」や「複数の路線が利用可能」など、利便性で分類します。
言うまでもなく、距離が近い、メジャーな駅であればあるほど利便性は高くなりますが、その分家賃も高額になる傾向にあります。
どこまでの利便性があれば良いのか、オフィスの位置づけによって許容範囲を決めていきます。一般的には、駅から徒歩5〜10分以内の立地は利便性が良いとされています。
ポイント3: 周辺環境もチェック
オフィス物件の立地を考える際、周辺環境について確認しておくことも大切です。業種によっては駐車場の有無が業務の効率を大きく左右する場合もあります。
従業員がリフレッシュできる環境として緑地の近くを選んだり、オフィス物件の周辺に従業員に必要な環境があるかどうかも必ず確認しておきます。
周辺環境の例として少し変わったところでは、スノーボード関連のデバイスを制作するスタートアップ企業の場合。横乗り好きの従業員たちが仕事の息抜きにスケボーができるよう、スケートパークがある駒沢公園近くの立地を選んだという事例もあります。
このように駅に近いことが必ずしも良いというわけではなく、企業カルチャーに合った立地を選びたいものです。特に中小企業においては、こうした独自性が企業ブランディングやスタッフ採用にもつながることもあります。
② 必要な面積を割り出す
適正なオフィスの広さとはどのくらいなのでしょうか?
従業員の出社率や来客の有無によっても、オフィスに必要な面積は変わります。
リモートワークを推進している企業なら、全従業員分のデスクスペースは必要ないかもしれません。来客を迎える会議室やショールームの有無、従業員が集まることのできる共有スペースなど、自社の働き方に合わせて必要な広さを算出しましょう。
出社率や来客頻度、働き方に合った面積を割り出しておくことで、広さの合わないオフィス物件情報に左右されることがなくなり、物件探しをよりスピーディーに行うことができます。
③ 譲れない設備を選別する
次に、自社のオフィスになくてはならない設備条件を洗い出していきます。
レイアウトやデザインの自由度の高さを求めるならスケルトンオフィス、少しでも早く営業を開始したい場合はセットアップオフィスなど、希望に応じて決めておきます。セットアップオフィスは、壁や天井、カーペットなどの内装工事が必要ないため、工事費用や準備期間をできるだけ抑えたい場合におすすめです。
また、オフィススペースだけでなく、企業の顔となるエントランスも大切です。さらに業種によっては、防災やセキュリティがしっかりしている物件が向いている場合もあるでしょう。車を日常的に使用する業種なら、駐車場の有無も日々の運営コストに関わる重要なポイントとなります。
このように、何を重視する企業なのかによって、必要となる設備や優先順位は大きく異なります。
設備や築年数にこだわらなければ賃料を抑えられる場合も多いため、物件探しをスタートさせる前に挙げた「どうしても譲れない希望条件」に立ち返り、自社に合った物件を選別していきましょう。
自由度の高いオフィス物件なら、必要に応じた家具・家電のレンタルを活用するなどし、企業の成長に合わせた使い方ができることも魅力のひとつです。
④ 適正な賃料の範囲で探す
物件探しで最も大切なポイントとなるのが賃料です。その企業の売上げに対して適正な賃料範囲があります。
賃料は必ず毎月発生する固定費です。売上げが良い時も悪い時も支払いができるよう、適正な賃料範囲を把握しておきたいものです。
適正なオフィス賃料とは、売上総利益(粗利益)の10~20%の範囲だと一般的に言われています。なお粗利益とは、全体の売上金額から原価分を差し引いた利益の金額となります。
自社の適正な賃料範囲はどのくらいだったでしょうか?
オフィス賃料が企業の経営を圧迫するようでは本末転倒です。ビジネスの成長とともにオフィスを移転する企業も多いので、まずは無理のない賃料範囲内でオフィス物件を探すことが長期的な視点でも非常に大切になります。
まとめ
以上、オフィス物件探しを効率化させるためのコツをステップごとにご紹介しました。
まずはじめにオフィス探しの目的やコンセプトを明確化し、希望条件や優先順位をしっかりと洗い出しておくことが、方針のブレを防ぎ効率化させるための大きなコツとなります。
ビジネス様式や働き方が多様化する昨今では、企業の個性に合わせたオフィス物件との出会いが、そのまま企業の競争力にもつながります。大衆的に「良い」とされている条件だけでなく、その企業の個性に合わせた条件で物件を探していけば、意外な優良物件と巡りあえることもありえます。
企業コンセプトや働き方を重視したオフィスなら、競争力を少しでも強化したい企業のイメージアップにつながります。
そして何よりも、予算に無理がない範囲でオフィス物件を探すことも経営面では非常に重要となります。企業の成長に合わせてオフィス移転を考えればよいので、はじめは無理のない賃料の物件を選びたいものです。企業の成長段階に合わせてオフィスを変えるといった柔軟な姿勢も、変化の多い現代を生き抜いていくコツになると言えるでしょう。
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