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オフィス立ち上げに必要な備品一覧!働き方にあわせて柔軟にそろえよう

オフィス空間は生産性とコストに大きく影響します。働き方が多様化する近年、オフィス空間に対するイメージも無機質で事務的な作業空間から、クリエイティビティやファシリテーションを重要視する自由度の高いワークスペースに変化してきています。

創業・起業して新しくオフィスを構える場合、どんな什器や備品に囲まれて日々の業務を行うかは、夢の膨らむ計画のひとつであると同時に、立地やコストといった制約にも悩まされることがほとんどでしょう。

オフィス空間を構成する什器や備品にはどんなものが必要か、また、その調達方法や管理方法について解説します。

オフィスの備品、環境に合わせて柔軟にそろえる

働き方に対する意識の変化とコロナ禍によるリモートワークの普及は、これから新しいオフィスを作る創業・起業者にとっても無視できないトレンドの変化です。

コワーキングやシェアオフィスといった占有することを前提としない業務スペースの確保の仕方や、フリーアドレスやアジャイルオフィスといった個人のスペースが固定されないオフィスレイアウト、ABWといわれる場所と時間にとらわれない働き方など、オフィス環境の選択肢は広がっています。

はじめるビジネスの業種や業態、資金的な要素も含め、オフィス環境を構成する什器・備品は、必要なものと不要なもの、あらかじめ用意する必要があるものと必要なときに調達すべきものなどを考慮したうえで検討することが必要です。

オフィスに必要な備品のカテゴリーとそれぞれのアイテム

オフィスに必要な備品は一般的に以下のようなアイテムが考えられます。

オフィス家具・インテリア 事務用品・オフィスサプライ PC周辺機器・事務機
・デスク

・チェア

・収納用什器

・ミーティングテーブル / チェア

・応接用家具

・パーテーション

・ホワイトボード

・金庫

など
・ファイリング用品

・掲示用品

・文具

・印章用品

・伝票・帳簿

・消耗品

・筆記用具

・カッター

・テープ

など
・モニター

・複合機

・通信・電源関連機器

・プロジェクター

・シュレッダー

・チェックライター

・ラミネーター

・ラベルライター

など
オフィス家電 衛生・アメニティ用品 工具・防災用品
・冷蔵庫

・電子レンジ

・コーヒーメーカー・

サーバー

・掃除機

・空気清浄機

・加湿器

など
・除菌用品

・飛沫防止パネル

・救急箱

・ゴミ箱

・ゴミ袋

・ティッシュ

・雑巾

など
・工具

・防災用品

など

オフィス家具・インテリア

一人ひとりの執務スペースとなるデスクとチェア、壁面に据え付ける収納什器は、オフィスレイアウトと導線の設計に関わり、オフィスの使い勝手を左右します。オフィス家具のサイズや形、占有するスペースは、オフィス家具・什器を選ぶ際に考えるべきポイントの一つです。

また、バックオフィス担当者やエンジニアは、自分の座席で一日の大半の時間を過ごすことになるため、腰痛対策の施されたオフィスチェアや昇降機能のあるデスクなど、品質や機能性も重視したいものです。

デスクやチェアのデザインとともに、ブラインドやパーテーション、照明器具などインテリアに関わるものは、トーンやデザインによってオフィスの雰囲気に大きく影響します。業務の種類やメンバーのカラーに合わせてデザイン性にも配慮するとよいでしょう。

オフィススペースで重要視されるようになってきたのが、コミュニケーションを促す共有スペースの拡充です。フリーアドレスに代表されるコミュニケーションが生まれやすい空間を意図的に作ることは組織全体にプラスの効果をもたらします。

会議やミーティングのスペースについても、ホワイトボードを前に長机を置く従来のミーティングスペースから、リラックスできる開放的なスペースでクリエイティブな意見交換を促すなど、新しいオフィスの形が生まれています。

事務用品・オフィスサプライ

ペーパーレスが進んできたとはいえ、業界によっては紙の書類を使うシーンはまだまだ多く残っています。契約書や公的手続きに印章用品は欠かせないものですし、紙の帳票や伝票を使う機会も少なくありません。

オフィス用品の通販サイトを利用して、一般的な文具はひと通りそろえておくとよいでしょう。足りないモノが出てきてもすぐに取り寄せることができます。

筆記用具やカッター、テープなどの文具は思いのほか作業性に影響するものです。頻繁に使うものは現場の声を取り入れ、使いやすい銘柄を決めて同じものを定期的に購入することをおすすめします。

また、紙のドキュメントを保管する必要がある場合は、整理しやすいファイリング用品を用意する必要があります。保管方法のルールを決めることと同時に、統一したものを使うと長期間保存する場合に管理が楽になります。

PC周辺機器・事務機器

オフィスに欠かせないのがコピー機や複合機などのOA機器です。必要な機能・性能とサプライも含めたトータルコストのバランスを見て導入します。

PCとその周辺機器も通信環境のインフラを含めて整備する必要があります。PC本体はデスクトップPCを据え付けるかノートPCを貸与するのか、通信環境はLANケーブルを配線するのかWi-Fiルーターを設置するのか、それぞれの業務に応じたPCのスペックなど検討要素は多岐にわたります。組織の規模によっては、テレビ会議システムやプロジェクター、大型モニターなども必要です。

シュレッダーやスキャナ、裁断機、ラベルライター、穴あけパンチといった事務機器も書類の管理方法によっては用意しなければなりません。事務機器は電源を要するものも多いため、テーブルタップなどの配線器具も予備的に準備しておきます。

オフィス家電

給湯設備がある場合は冷蔵庫や電子レンジ、コーヒーメーカーなどの家電製品も必要ですし、食事や休憩のための共有スペースとして快適に利用できる環境を作りたいものです。また、水回りのスペースを清潔に保つには、管理担当者や利用のルールを設けることがポイントとなります。

給湯室は移動できないため、オフィスのレイアウトを考える際の制約条件となります。給湯室に近接する形でフリースペースを設けるなど、社員のコミュニケーションを促す場所として機能させることも視野に入れておくとよいでしょう。

給湯室以外で設置するオフィス家電には、空気清浄機や加湿器などがあります。オフィスを快適にするために使うものであり、必ず必要というわけではありませんが、オフィスの立地や環境によっては要望されることがあります。要望があった場合は管理方法も含めて導入を検討します。

衛生・アメニティ用品

新しくオフィスを開設する際に忘れずに準備しなければならないのが、ゴミ箱やゴミ袋、掃除用具などの衛生用品です。水回りには洗剤や雑巾なども用意しておく必要があります。

外部からの出入りがあるスペースには、コロナ等の感染症に対応するための除菌用品や飛沫防止パネルなどを設置するケースも考えられます。

加えて、一定規模の事業所では衛生管理者を置かなければならないなど、法律に基づいた安全衛生管理を求められるほか、労働安全衛生規則ではすべての事業所で救急箱を置かなければならないという規定があります。

救急箱の中味(救急用具及び材料)も規定があり、①包帯材料、ピンセット及び消毒薬、②火傷のおそれのある場合は火傷薬、③重症者を生ずるおそれのある場合には止血帯、副木、担架等とされています。

②、③は業務や職種によりますが、一般的なオフィスであっても①のほか、胃薬や頭痛薬、体温計、絆創膏などをそろえた救急箱を用意しておきましょう。こちらもオフィス用品の通販で手に入ります。

工具・防災用品

使う頻度は少ないものの、あると便利なのが工具です。ドライバーやスパナなど、事務機器や照明器具、家具・什器の不具合に対応するため、意外と使う機会があります。専門的な工具は必要ありませんが、簡易な工具箱はオフィス用品の通販で用意しておくとよいでしょう。

また、東京都では事業所に対し、水や食料などの防災備蓄設置を努力義務として条例に定めています。大手企業ではBCP(事業継続計画)の一環として備えている割合も少なくありませんが、起業・創業期のオフィスでは気の回らない備品のひとつです。

オフィスの立地が高層階である場合など、災害時に速やかに退避できない可能性がある場合は、従業員の安全衛生管理の面から検討しておくべきです。

オフィスの備品の調達方法

オフィス備品はそれぞれのアイテムの金額や購入頻度、納期などを基準として最適な調達方法を選ぶ必要があります。

特に、オフィス家具や什器は金額も小さくはなく、金額によっては資産計上しなければならないため、使用期間を考慮して購入方法を検討する必要があります。大型のものは入れ替えにも手間がかかるため慎重に検討しましょう。

オフィス家具・インテリア

創業から数年の間は組織や体制、オフィスの場所などが頻繁に変わることも少なくありません。また、組織や人員の組み換えに伴いオフィスのレイアウトや配置も変更することが想定されます。

そのため、オフィス家具や什器など大掛かりなものも、入れ替えや移動のしやすさを考慮して調達方法と具体的なブランド・機種を選ぶ必要があります。

調達方法 一括購入 レンタル・リース
メリット ・長期保有の場合は割安になる

・欲しいものを自由に選べる

・保証がある
・初期費用を大幅に抑制できる

・(レンタルの場合)用途が合わないなどの事情で変更がきく
デメリット ・初期費用が高額になる

・使い心地が悪いといった場合も使い続ける必要がある
・耐用年数まで使う場合はトータルコストが高くなる

・銘柄や機種に一定の制約がある
その他 ・10万円を超えると固定資産になる

・中古品による調達も検討したい
・リース契約の場合は社歴・信用等の審査が必要

・レンタル・リースともに経費処理が可能

一括購入

一括購入のメリットは長期間保有するのであれば他の調達方法に比べて割安になることと、欲しい物を自由に選べること、保証があることなどです。

10万円を超えれば固定資産となりますが、初期費用が高額となる点が最大のデメリットです。また、購入したが使わなくなった、使い心地が悪かったといった場合に替えが効かないということも念頭におくべきです。

オフィス家具の耐用年数は、金属製のもので15年、その他のものは8年なので、このタイムスパンのなかでレンタルやリースとコストを比較し、調達方法を決めるのもひとつの方法です。

また、中古品も最近では程度のよいものが多く流通するようになってきたので、初期費用を抑えるための調達方法として検討する価値があります。

レンタル・リース

一括購入と比較し、初期費用を大幅に抑えられるのが大きなメリットです。使用期間が短ければトータルコストの点でも有利な調達方法です。加えて、レンタルの場合は実際に使ってみてイメージと違うなら交換や返却ができることもメリットです。

一方、レンタルやリースは耐用年数まで使い続けた場合、購入するよりもトータルコストは高くなる点、レンタルは機種の選択の範囲が狭まることなどがデメリットです。

リースは自由にメーカーや機種を選ぶことができますが、リース契約には審査があり、社歴の浅い起業は利用が難しいこと、また、途中解約ができないことも考えて選択する必要があります。

その他のオフィス備品

文具をはじめとする事務用品は、たいていのものが「ASKUL」「モノタロウ」「カウネット」といったオフィス用品の通販サイトで手に入ります。当日出荷や不要家具の引取など、それぞれのサイトごとに特徴があるので、複数のサイトを効率よく活用したいものです。

オフィスの備品の管理方法

オフィスの備品、消耗品は品目も数多く、オフィス全体に点在するため、全体を把握することが難しくなります。購入したものとリース、レンタルしたものでは会計処理が異なる点や、短期間で消費する消耗品は発注のタイミングを考える必要があるなど、備品や消耗品の管理は煩雑になりがちです。

備品や消耗品を管理する際に考えなければならない点を紹介します。

備品と消耗品で会計処理が異なる

オフィスの備品を購入する場合、経費とするか資産とするかで会計上の処理が変わってきます。経費とすれば利益を減らすことにつながるため節税効果が生じ、資産として計上すれば耐用年数で均等に償却されるため、会計上の利益を押し上げることができます。

ここまでに取り上げたオフィスの備品は、「備品」と「消耗品」の2つの勘定科目に分けられます。それぞれの違いは以下の点です。

  • 「備品」:使用期間が1年以上、かつ、取得価額が10万円以上のもの
  • 「消耗品」:上記に該当しないもの

また、10万円以上20万円未満の備品については「一括償却資産」として処理する方法、青色申告をする中小企業に該当する場合は10万円以上30万円未満の備品について「少額償却資産」として処理する方法があります。

  • 「一括償却資産」

10万円以上20万円未満の備品について耐用年数に関わらず3年で均等に償却できる

  • 「少額償却資産」

10万円以上30万円未満の備品について、中小企業に該当し青色申告を行う場合に、取得金額の全額を損金に参入できる

家具や什器、PC、事務機器、家電製品などを購入する場合、上記の取得価額に該当することも多いことから、会計上のメリットを考えた上で処理方法を選択します。

効率的な備品の管理方法

備品は取得方法(購入・リース・レンタル)や償却方法によって区別しなければならず、ラベルを貼るなどの方法で識別して管理します。消耗品は欠品を起こさないように在庫管理と発注の仕組みを整える必要があります。

消耗品や備品はオフィスに点在し、オフィスの規模が大きくなると全体を把握することが難しくなります。一般的にはエクセルなどを使った台帳やデータベースを用いて管理しますが、管理品目が多い場合には物品管理に特化したクラウドサービスなどを活用するのもひとつの方法です。

また、管理対象と管理担当者、発注のルールと決裁者を明確にし、欠品を防ぐとともに無駄に使わない仕組みづくりが必要です。

試行錯誤しながらオフィスの備品を最適化しよう

新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが浸透したことで、オフィススペースを削減する動きが目立っています。リモートワークで社員分の座席を確保する必要がなくなれば、ファシリティコストを大幅に削減できるという理屈です。

オフィススペースを削減し、出社人数をコントロールした上でフリーアドレスや共有スペースを活用するという方法が取られますが、部門単位のコミュニケーションの不足や集まるメンバーが固定されるなど、オフィスの機能が果たされずに元の体制に戻したといった事例も多く聞かれます。

メンバーシップ型の雇用制度を取る従来の日本型の人事制度に、リモートワークや自席を持たないオフィススペースは馴染まないといった指摘もありますが、先進的な企業ほど新しいオフィスの形や働き方の工夫で成功しているのも事実です。

全体的に見れば、オフィスのあり方とそこでの働き方を、それぞれの企業が試行錯誤している段階といえるでしょう。

今後は、さらに、オフィスの機能やスペースの使い方についても柔軟な考え方が求められるようになり、家具や什器などの備品も入れ替えしやすくコストが抑えられる、レンタルやサブスクリプションの価値が高まっていくと考えられます。

まとめ

創業・起業者にとって、新しいオフィスは期待の膨らむ空間である反面、コストや組織の問題が絡む煩雑な要素です。備品・消耗品は生産性とモチベーションに影響します。

組織体制や事業そのものが変化していく創業期は、オフィスの形態も柔軟に変更できるものにしておくほうが、サンクコストを減らすことにつながります。

ここまで述べた備品・消耗品を導入する際の注意点を踏まえ、レンタルやサブスクリプションを活用し、試行錯誤しながら自分の会社らしいオフィスを形にしていきましょう。