オフィス移転は費用も時間も節約したい。コストを抑えて成功させるポイント
コロナの影響から多くの企業がテレワークへの対応を求められるようになり、オフィスの必要性やあり方を検討することになりました。その中で、オフィスの縮小や移転を検討する企業も増えましたが、特にオフィスの移転には時間と様々な費用が発生します。また、単に場所を移せばいいわけではなく、社員が快適に過ごせる環境とは何か、といった点も多角的に考える必要があります。
本記事では、オフィス移転にかかる費用を抑える方法、具体的な進め方、成功させるためのポイントなどを解説します。オフィス移転の全体的な流れ・タスクも紹介しているため、自社オフィス移転の参考にしていただければ幸いです。
1-1.何のためにオフィス移転をおこなうのか
1-2.社員が快適に働ける環境とは
2.意外とかかる、オフィス移転の費用
2-1.オフィス移転の費用の相場
2-2.オフィス移転に含まれる費用の内訳
3.オフィス移転の費用節約のコツ
3-1.内装工事のコスト削減
3-2.オフィスレイアウトを工夫してコスト削減
3-3.家具・家電・什器選びでコスト削減
3-4.会議室づくりの工夫でコスト削減
4.期間や流れは?オフィス移転のスケジュール
4-1.オフィス移転の大枠スケジュール
5.オフィス移転の必要なタスクと進め方
5-1.新オフィスの条件設定と計画立案
5-2.現オフィスの解約手続きと原状回復工事の内容決め
5-3.新オフィスの物件探しとオフィスレイアウト
5-4.オフィス移転の関連業者の選定と連絡
5-5.移転作業スケジュールの詳細決定
5-6.オフィス移転のお知らせ
5-7.オフィス移転作業と引越し開始
5-8.オフィス移転に伴う手続き
6.オフィス移転を成功させるポイント
6-1.オフィス移転の目的を明確に
6-2.オフィス移転はチェックリストで進捗確認
6-3.オフィス移転後の運用が重要
7.まとめ
オフィス移転を成功させるために検討すべきこと
オフィス移転では働きやすさとコストのバランスを考えることが大切です。社員の働きやすさだけを重視したオフィス環境を整備すれば、多額の設備投資が必要になってしまうでしょう。一方で、コスト削減を意識するあまり、必要最低限に留めたオフィス環境を構築してしまうと、社員のエンゲージメントや満足度を高めることはできません。オフィス移転を成功させるには、事前に検討しておかなければならないことがあります。この章ではオフィス移転の担当者が事前に検討すべきことについて解説します。
何のためにオフィス移転をおこなうのか
オフィス移転を進める場合、まず目的を明確にすることから始める必要があります。たとえば、コストの削減やエンゲージメントの向上、ブランディングといった目的の場合は、以下のような動機が考えられます。
オフィス移転の目的 | 動機 |
オフィス維持費の削減 | リモートワーク導入によってオフィス勤務の社員が減ったため、オフィスの規模を小さくしたい |
エンゲージメントの向上 | 社員が好きな場所で働くことができるフリーアドレス制度に適したオフィス環境を整備したい |
企業ブランディングの強化 | 企業の理念やブランドイメージを反映させたオフィスにしたい |
まずは大まかにでも移転の目的や動機を明確にしていくことが、オフィス移転を決める際のコンセプトとして重要となります。
社員が快適に働ける環境とは
オフィス移転する際は、社員が快適に働けるオフィス環境を整備することが重要です。働きやすいオフィス環境の場合、「作業動線が改善されて作業効率が向上する」、「社内コミュニケーションが活性化して、職場内の人間関係の改善やイノベーションにつなげられる」などのメリットを享受できます。社員にとって快適に働ける環境を検討する上で欠かせないのは、適切な「オフィスの面積」「レイアウトの選定」「オフィス家具の選定」の3つです。社員の人数当たりの面積が狭ければ、作業効率が低下する可能性があります。十分な広さがあっても部署や用途に適したレイアウトでなければ、社内でのコミュニケーションが取りづらくなる恐れがあるのです。
また社員の職種にあわせたオフィス家具を使用しなければ、使われない家具が発生したり、使いづらいものを我慢して使い続けることに悩む事になるでしょう。まずは現オフィスにおける問題点や課題を洗い出し、社員にとって快適なオフィス環境とは何かを検討しましょう。
意外とかかる、オフィス移転の費用
オフィス移転にかかる費用には、様々な種類があります。例えば、新オフィスにかかる費用に加えて、新オフィスに移転するまでの現オフィスにかかる費用や、引越しにかかる費用、その他にかかる諸経費などが挙げられます。以下では、オフィス移転にかかる費用相場の目安と、具体的な内訳を見ていきたいと思います。
オフィス移転の費用の相場
しかしながら、オフィス移転の費用に相場とされる費用目安はありません。なぜならオフィスの規模や設備投資にかける費用によってはもちろん、内装のデザインやオフィス家具のグレード、素材の選び方次第で移転にかかる費用は大きく変わってきてしまうためです。ただし、オフィス移転にかかる一般的な費用項目は存在するため、次の4つの項目を覚えておくと良いでしょう。
オフィス移転に含まれる費用の内訳
オフィス移転にかかる費用は、大きく分けて次の4つがあります。
- 現オフィスにかかる費用
- 新オフィスにかかる費用
- 引越し費用
- その他の諸経費
現オフィスにかかる費用とは、新オフィスに移転するまでの期間中の維持費や退去のための原状回復工事費などです。現オフィスを入居前の状態に戻すために、契約内容に従い原状回復工事をおこなわなければなりません。工事費は、オフィスの借主が負担するのが一般的です。新オフィスにかかる費用とは、オフィスとして利用できる状態にするまでに必要なコストのことです。
現オフィスから新オフィスに持ち込むオフィス家具や什器などがある場合は、引越し業者に荷物の搬出・搬入のための依頼費用を支払わなければなりません。引越し費用は、オフィスから運搬する荷物の量や大きさだけで決まるのではなく、オフィスのある階数によっても異なります。例えば、貨物用のエレベーターがないオフィスの場合は、クレーン車などを用いて窓から荷物を搬出する必要があるため、費用の負担額が増える可能性があります。
その他の諸経費は、申請書類の作成から提出までのすべてを自社でおこなう際にかかる費用のことです。自社ですべてをおこなう場合はコスト削減できますが、書類に不備があれば再提出などが必要になり手間が発生します。円滑に手続きを進めるなら、弁護士や行政書士に依頼するのがおすすめです。
オフィス移転にかかる費用の具体例は、以下のとおりです。
オフィス移転にかかる費用 | 具体例 |
現オフィスにかかる費用 |
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新オフィスにかかる費用 |
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引越し費用 |
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その他の諸経費 |
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オフィス移転の費用節約のコツ
オフィス移転には様々な費用が必要になりますが、コスト削減できる項目として「内装工事」、「オフィスレイアウト」、「家具・什器」、「会議室」の4つがあります。以下ではそれぞれの費用をどのように節約できるのか具体的に解説します。
内装工事のコスト削減
内装工事では設計・デザイン費、設備工事費などはもちろん、実施から完成までの時間的コストも考慮しなければなりません。内装工事費を節約するなら、原状回復工事の不要な居抜き物件を検討するのも一つの方法です。前の入居者が残していった内装や設備をそのまま利用できるため、内装工事にかかるコストを大幅に削減できます。修繕や内装変更の必要があったとしても、内装デザインを一から始めるよりもコストを安く抑えられるでしょう。また、居抜き物件はオフィス移転時も原状回復工事が不要なため、退去コストが削減できます。
オフィスレイアウトを工夫してコスト削減
オフィスレイアウトを工夫することで引越し費用や家賃などの節約が可能です。例えば部署がワンフロアで収まらない物件にオフィスを移転する場合、フロアごとに内装工事や配線工事、引越しなどの費用が必要になってきます。一方、すべての部署がワンフロアに収まる物件を選ぶことで、家賃や工事費などを削減できる可能性が高まります。また、フリーアドレス制度を導入することで、社員一人ひとりに固定席を設ける必要がなくなり、オフィススペースの縮小・有効活用が期待できます。また、空いたスペースを活用し、リラックススペースを設置したり、数人でディスカッションできるスペースを設けたりすることで、従業員のコミュニケーション活性化や満足度向上も期待できます。
家具・家電・什器選びでコスト削減
オフィス家具・家電や什器も、調達方法を工夫することでコストを削減できます。オフィス家具や什器のすべてを新規購入で調達すると膨大な費用がかかります。一方、新しいオフィス家具や什器を購入するのではなく、レンタルやサブスクリプションサービス(サブスク)を利用することで導入コストの削減が可能です。まだまだ使えるものは新オフィスに持ち込み、故障などで買い替えが必要なものはレンタルやサブスクを利用する方法もオススメです。
従来オフィス家具のレンタルは、ラインナップが制限され品質も悪いものでしたが、最近の「サブスク」は空間のニーズに沿ったおしゃれなデザイン家具など、ラインナップも豊富で品質の高いものが揃っています。また、購入よりも初期費用を抑えつつ、オフィスの稼働率やコンセプトにあわせて家具・家電・什器を必要な時、必要な数だけ利用することも可能です。
会議室づくりの工夫でコスト削減
会議室の作り方を工夫することでコストを削減できます。例えば、従来は秘匿性の高いミーティングや取引先との打ち合わせが多い場合は個室の会議室が必要で、工事費がかかりました。一方、最近は遮音・防音性に優れた個室型フォンブース(電話ボックスのような個室スペース)を導入する方法もあります。基本的に設置工事不要の場合が多いため、設置するだけで最小単位の会議スペースとして利用でき、省スペース化にもつながります。また、ちょっとした社内ミーティングであれば執務スペースの一角にパーテーションで区切った打ち合わせスペースを設けることで工事費を節約できます。
期間や流れは?オフィス移転のスケジュール
オフィス移転に向けてどれくらい前から準備を始めればいいのかは、オフィスの規模や現オフィスから新オフィスに持ち込む荷物の量などによって異なります。オフィス移転のおおまかな全体の流れを把握できるように、以下で解説する一般的なスケジュールを確認しておきましょう。大枠のスケジュールを把握しておくことで、自社でオフィス移転のスケジュールを逆算して考えられるようになります。まずは、オフィス移転6カ月前から移転後までのスケジュールを簡単に解説します。
オフィス移転の大枠スケジュール
スケジュールの目安 | 具体的な動き |
6カ月以上前 |
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6カ月前 |
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5カ月~4カ月前 |
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3~2カ月前 |
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1カ月前 |
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移転当日 |
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移転後 |
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オフィス移転の必要なタスクと進め方
オフィス移転を成功させるためには必要な作業をタスク化し、移転計画に沿って進めて行きましょう。移転計画を明確にしておくことで、いつまでに何をすればいいのかを把握しやすくなり、オフィス移転をスムーズに進めることができます。以下では、オフィス移転をスムーズにおこなう上で必要になるタスクと進め方を解説します。
新オフィスの条件設定と計画立案
新オフィスの物件を探す前に、オフィス移転の目的や動機に沿った条件を決めておくことが大切です。現オフィスの問題点や課題を洗い出した上で、新オフィスに求める条件を設定しましょう。例えば「すべての部署をワンフロアに集約させたい」、「リモートワークの導入に伴いオフィスを縮小化させたい」などです。同時にオフィス移転日の6カ月前までに移転計画を検討し、移転までに必要なスケジュールに無理がないか、移転費用は予算内に収まりそうかなどを確認しておく必要があります。また新オフィスのコンセプトも決めておくと、後述するオフィスレイアウトを決めやすくなります。
現オフィスの解約手続きと原状回復工事の内容決め
オフィス移転の準備として現オフィスの管理会社やオーナーに対し、退去の意思を伝えておかなければなりません。一般的にビルのテナントなどを賃貸契約している場合は、6カ月前には解約を予告する必要があります。退去の意思を伝えた際は、解約手続きを進めるのと同時に、現オフィスの退去後におこなう原状回復工事の内容のすり合わせも不可欠です。居抜き物件の場合は原状回復工事は不要なため、事前のすり合わせが不要な場合が多いです。
新オフィスの物件探しとオフィスレイアウト
新オフィスの物件を契約する前に候補になる複数の物件を内覧し、オフィスに求める条件が当てはまっているのかを確認しておきましょう。例えば「オフィスの広さや間取り」、「設備の有無」、「立地」などがあげられます。新オフィスの物件の選定後は、新オフィスのコンセプトに基づいてオフィスレイアウトを検討しておきましょう。オフィスレイアウトとは、オフィス内のどこに何を配置するのかを明確にするための設計図のようなものを指します。
オフィスレイアウトには、部署ごとにデスクを並べて島のようにする「対向式レイアウト」などのデスクの配置方法や、固定席を設けずに社員が自由に席を選べる「フリーアドレス制度」などの運用方法も含まれます。オフィスコンセプトを加味して、自社のオフィスにはどのようなレイアウトが適しているのか決めておきましょう。
オフィス移転の関連業者の選定と連絡
オフィス移転には、関連業者の選定・発注が必要です。業者の選定が必要な項目には以下が挙げられます。あらかじめ発注先として指定された業者がいる場合もありますので、あわせて確認しましょう。
- 新オフィスの内装工事
- 電気・電話・インターネット回線の配線工事
- 現オフィスの現状回復工事
- 引越し
- 内装設計
- オフィス家具メーカー
また各種手続き・申請書類の作成・提出を外部に委託する場合は、依頼する行政書士や弁護士を探す必要があります。さらにオフィス移転の案内文を発送する取引先の数が多い場合は、自社で作成・発送するのではなく専門業者に依頼するのも一つの方法です。上記で挙げた業者を選定する際は、各業者に見積をもらった上で比較検討しましょう。
移転作業スケジュールの詳細決定
おおまかな移転スケジュールが決定した後は、よりスムーズなオフィス移転を行うために詳細なスケジュールを設定しましょう。工事日や荷物の搬出・搬入日などの細かいスケジュールを決めるためには、関連業者と打ち合わせをおこない、別の工事や荷物の搬出・搬入などの日程と重ならないように調整する必要があります。また原状回復工事や内装工事、電気・電話・インターネット回線の配線工事にどれくらいの期間がかかるのかを把握しておくことも大切です。とくに原状回復工事は現オフィスの退去日までに済ませておかなければならないため、注意しましょう。
オフィス移転のお知らせ
オフィス移転のお知らせを取引先の企業や関係者に送るタイミングは、移転当日から1カ月前が一般的ですが、適切なタイミングを判断した上で案内文などを送付するようにしましょう。オフィス移転のお知らせに記載する内容は、以下のとおりです。
- 新オフィスの住所、連絡先(電話番号・FAX番号)
- 現オフィスの連絡が不通になる期間と代替の電話番号
- 移転日時、業務開始日
- 取引先や関係者に向けた感謝の気持ち
企業間でオフィス移転を伝える際は書面による方法も考えられますが、迅速に情報を共有したい場合は、メールを用いるのが一般的です。またホームページやSNSの企業アカウントなどでも、オフィス移転の情報を発信しておきましょう。
オフィス移転作業と引越し開始
新オフィスの内装工事が完了すれば、オフィス家具・什器などの荷物の搬入作業やオフィスレイアウトに基づいてデスクなどを配置する作業が必要になります。実際に荷物を搬入してみて不足しているものがないか、作業導線に問題がないか、電気・電話・インターネットなどが問題なく使えるかどうかも確認しておく必要があります。
オフィス移転に伴う手続き
オフィス移転時は、法務局や社会保険事務所、郵便局などへの手続きが必要です。例えば法務局には移転日から2週間以内に「本店移転登記申請書」を提出しなければなりません。他にもオフィス移転で必要になる手続きの一例を紹介します。
提出場所 | 提出物 |
法務省 | 本店移転登記 |
都道府県税事務所 | 新オフィスでの事業開始日から10日以内に事業開始等申告書を提出 |
税務署 | 移転後に更異動届出書や給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出を提出 |
労働基準監督署 | 労働保険名称や所在地等変更届を提出 |
年金事務所 | 健康保険や厚生年金保険適用事業所所在地、名称変更届を提出 |
ハローワーク | 雇用保険事業主事業所各種変更届を移転日から10日以内に提出 |
消防署 | 防火対象物使用開始届出書を提出 |
オフィス移転を成功させるポイント
オフィス移転を成功させるためには、スケジュール感や費用感それに紐づくタスクを把握することはもちろん、リモートワークの導入やサテライトオフィスの設置など、核となるオフィスの在り方や社員の働き方の変化にあわせたオフィス空間を考える必要があります。あわせて事前の計画では見えづらいオフィス移転後の運用や検証も欠かせません。以下ではオフィス移転を成功させる上で重要なポイントを4つ紹介します。
オフィス移転の目的を明確に
くどいようですが、オフィス移転をおこなう前に、なぜ移転しなければならないのか目的をはっきりさせておくことが重要です。目的が曖昧なままオフィス移転を進めると、無駄なコストが増えるだけでなく、現オフィスの問題点や課題を解決できず、組織の生産性や社員の満足度が低下する可能性があります。目的の例としては「社員数や事業の規模にあった規模のオフィスに変更したい」、「家賃などの固定費を削減したい」、「リモートワークなどの多様な働き方に対応できるオフィスを作りたい」などが挙げられます。
移転に多額のコストをかけたにもかかわらず現状の問題点や課題を解決できなければ、新オフィスに移転する意味はないでしょう。オフィス移転を成功させるためには、現オフィスにおける問題点や課題を洗い出し、その上で移転する目的を明確にしましょう。
オフィス移転はチェックリストで進捗確認
オフィス移転に必要なタスクは、多々あります。一つのタスクを処理し忘れ、オフィス移転のスケジュールが大幅に遅れることがないよう、「オフィス移転前」・「当日」・「移転後」などのように項目を分けて、それぞれに必要なタスクをリスト化しておきましょう。チェックリストを作成しておけば、タスクを処理し忘れることを未然に防げます。移転準備の進捗を確認する上でもメリットがあります。
また万が一スケジュールに遅れが出た場合でも、早い段階で日程を調整するなどの迅速な対応を取ることができます。オフィス移転に必要なチェックリストを確認しておきましょう。
まずは、現オフィスで必要になるチェックリストの一例を紹介します。
- 賃貸契約書の内容の確認
- 新オフィスへの入居可能時期の確認
- 解約予告の時期の検討
- 現オフィスの管理会社・オーナーへの解約予告通知の発送
- 保証金等の返還時期の確認
- 退去日の決定や原状回復工事の内容などの打ち合わせ
- 複数の工事業者に見積りの依頼、依頼業者の選定
- 工事業者に原状回復工事の発注
- 退去日の立ち会い
次に新オフィスでの流れをもとにしたチェックリストの一例を紹介します。
- 現オフィスの課題の洗い出し
- オフィス移転目的の設定
- 新オフィスの立地や場所の調査・選定
- 従業員の交通費の増減を算出・確認
- 周辺環境の確認(最寄り駅、銀行、役所、郵便局など)
- 新オフィスの契約に伴ってかかる費用の確認(賃料や共益費、更新料など)
- 新オフィスの契約
- 新オフィスのレイアウトプランの作成
- 不用品の洗い出し
- 新規購入やリースが必要なオフィス家具・OA機器の洗い出し
- オフィス家具・OA機器の選定、見積り依頼
上記にあげたのは、オフィス移転のチェックリストの一例にすぎません。オフィス移転のチェックできるツールを利用すれば、作成の手間を減らすことができます。以下のツールが便利です。
【参考ツール】
全国貸事務所・オフィス移転ナビ「事務所移転チェックリスト」
日本の人事部「オフィス移転チェックリスト」
オフィス移転後の運用が重要
オフィス移転は、移転がゴールではありません。移転後に新オフィスを運用し、オフィス移転の評価や検証が必要です。例えば「新オフィスのコンセプトはどれくらい実現できたのか」、「費用対効果は得られたのか」、「社員のエンゲージメントや満足度は高まったのか」、「作業効率は向上したのか」などが挙げられます。また新オフィスへの移転に伴い、導入したツールや運用ともあわせて、リモートワークの社員との連携・コミュニケーションがスムーズかどうかなど、広い視点での評価・検証をおこなうことが重要です。
具体的な検証方法として「評価シートを作成する」「ツールを用いて社員満足度の経過を測定する」の2つの手段があげられます。評価シートは「移転目的の実現度」や「想定通りにオフィスが利用されているか」などの検証が必要な項目を記載し、項目に従ってオフィス移転後の効果を確認します。オフィス移転による社員満足度を調査する場合は、アンケートの作成・実施・回収・結果の可視化機能があるツールの活用がおすすめです。アンケート内容には、「オフィスは使いやすいか」や「作業効率の向上を感じているか」などの設問を入れて、社員満足度を測りましょう。またフリーコメント欄を設けることで社員の率直な意見を集めることも大切です。それぞれの評価方法は、以下を参考にしてみてください。
評価シート | 評価シートの項目に沿って、オフィス移転後の効果を評価する 例)オフィスコストの削減を検証(年間のオフィス賃料が〇万円減額した)→オフィスコストの削減効果があったといえる |
ツールによる社員満足度の経過測定 | 社員満足度を集計し、低い評価がついている項目の原因・改善案を検討する 例)座席に不満がある(エアコンの吹き出し口や入口に近い)→改善策として、自由席(フリーアドレス)や集中ブース、ミーティングスペースなどを設ける |
評価・検証は、事業の拡大・縮小、多様な働き方の変化など、将来的にオフィスレイアウトの変更などが必要になった場合に迅速に対応するための重要な指標になります。
まとめ
時代の変化と共に、働き方も常に変化していきます。企業には社員が「働きやすい」と感じるオフィス環境の整備が求められています。オフィス環境を整備する方法として「移転」という手段もありますが、必ずしも「オフィス環境の整備=オフィス移転」ではないため、なぜ環境を変えたいのか目的を明確にし、働きやすさとコストのバランスを考えたオフィス環境を構築していくことが大切です。